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人工甘味料(合成甘味料)は危険?体に悪い?糖質とカロリー

人工甘味料は、清涼飲料やお菓子の他、パンやハム・ソーセージ、レトルト食品といった加工食品など、多くの食品に使用されています。その他にもハミガキ粉や洗口液、医薬品の分野まで幅広い目的で利用されています。

人工甘味料を「カロリー0だからダイエット中にいい」「糖尿病で糖質を抑えたいから」といった理由で砂糖の代わりに使っている方もいるのではないでしょうか。実際、「砂糖に比べてコストが低いため」「他の甘味料との併用による甘さ調整のため」「商品中のカロリーを抑えるため」という理由で食品添加物として使用している食品メーカーが多く、特に低カロリー商品に使用されています。(参考:農畜産業振興機構 調査情報部)

人工甘味料の定義

人工甘味料は、糖質系甘味料「糖アルコール」と非糖質系甘味料「合成甘味料」に大別され、糖アルコールは天然に存在するものを合成して作られますが、合成甘味料は天然に存在しない甘み成分を人工的に合成して作られたものをいいます。

【人工甘味料の種類】

糖アルコール 糖質系甘味料 天然に存在する キシリトール、エリスリトールなど
合成甘味料 非糖質系甘味料 天然に存在しない アスパルテーム、スクラロースなど

「糖アルコール」は天然に存在するものから作られるため人工甘味料ではないと言われる専門家もいますが、ここでは合成甘味料を人工甘味料と定義して説明します。

人工甘味料の種類

現在、日本で使用が認められている人工甘味料の種類は次のものがあります。

品名 砂糖(ショ糖)と比較した甘味度 一日摂取許容量(ADI)
[mg/kg体重/日]
アスパルテーム 100~200倍 40
アセスルファムカリウム 200倍 15
アドバンテーム 14,000~48,000倍 5
サッカリン 200~700倍 5
スクラロース 600倍 15
ネオテーム 7,000~13,000倍 2

アスパルテーム

アスパルテームはアスパラギン酸とフェニルアラニンから作られるアミノ酸です。1965年にアメリカの製薬会社が胃薬の合成研究中に発見し、日本では1983年に食品添加物として認可されました。食品表示では「L-フェニルアラニン化合物」と併記されます。砂糖の約100~200倍の甘さがあり、カロリーは約4kcal/gあります。

アセスルファムK(カリウム)

アセスルファムカリウムは、酢酸由来のジケテンとスルファミン酸を反応させ、さらに三酸化硫黄を反応させ、水酸化カリウムで中和、結晶化して作られます。1967年にドイツで開発され、日本では2000年に食品添加物として認可されました。原材料に「アセスルファムK」と表記されることもあります。砂糖の約200倍の甘さがあり、カロリーはありません。

アドバンテーム

アドバンテームは、合成甘味料アスパルテームの改良品であり、アスパルテームの還元アルキル化反応により合成されるジペプチドメチルエステル誘導体です。日本の食品企業が開発し、2014年に食品添加物として認可されました。砂糖の約14000~48000倍の甘さがあります。

サッカリン

サッカリンは、天然に存在しないサッカリン酸ナトリウムです。1878年にアメリカの大学でコールタールの研究中に偶然発見し、日本では1946年に食品添加物として認可されました。1960年代に発がん性が疑われたため一時使用禁止になりましたが、さまざまな動物で試験が行われ見直しを受け再び使用が許可されました。砂糖の約200~700倍の甘さがあり、カロリーはありません。

スクラロース

スクラロースは、砂糖を原料としてショ糖(スクロース)を塩素原子に置換することにより作られます。1976年にイギリスで食品飲料会社が開発し、日本では1999年に食品添加物として認可されました。砂糖の約600倍の甘さがあり、カロリーはありません。

ネオテーム

ネオテームは、合成甘味料アスパルテームの改良品であり、アスパルテームを還元的アルキル化することによって合成されたジペプチドメチルエステル誘導体です。アメリカのバイオ科学メーカーが開発し、日本では2007年に食品添加物として認可されました。砂糖の約7,000~13,000倍の甘さがあります。

カロリーと糖質

人工甘味料は経口摂取した後、体内で消化・吸収されない特性があるため、カロリーはほとんどありません。アスパルテームには1gあたり4kcalの熱量がありますが、1/200の量で砂糖と同じ甘さを感じることができるので、食品中に含まれるカロリーはごくわずかです。

また、非糖質系甘味料の人工甘味料にはブドウ糖が含まれていないので、糖質がなく血糖値を上昇させません。

「低カロリー/カロリーゼロ/カロリーオフ/低糖質/糖質ゼロ/糖質カット」とうたっている加工食品の多くには、この人工甘味料が入っています。

人工甘味料の安全性

人工甘味料は天然に存在しない物質で化学的に合成して作られていることから、その安全性について心配される方も多いかもしれません。

 

人工甘味料は多くの試験で安全性と有効性が確認され、安全性が証明された物質と量においてのみ厚生労働大臣が使用を許可している添加物です。例えば食品の加工において、清涼飲料水などのジュース類に使用するスクラロースの最大限度は1kgにつき0.40g以下にするよう使用基準が定められています。

また、スクラロースの生涯毎日摂取し続けても健康への影響が出ないと考えられる一日当たりの摂取許容量(ADI)は、体重1kgあたり15mgです。つまり体重58.6kgの成人がスクラロースを毎日879mg摂取しても、健康に問題はないとされています。

 

厚生労働省の調査によると、スクラロース一日推定摂取量はわずか0.752mgしかないという結果が出ています。通常の食生活であれば摂取許容量を超えることはありません。

【厚生労働省:マーケットバスケット方式による甘味料の摂取量調査】20歳以上の成人(体重58.6kg)

品名 一日摂取許容量(ADI)
[mg/人/日]
推定一日摂取量
[mg/人/日]
アスパルテーム 2344 0.055
アセスルファムカリウム 879 1.779
アドバンテーム 293 0
サッカリン 223 0.144
スクラロース 879 0.752
ネオテーム 59 0.0002

健康へのリスクと否定的見解

上記のように、厚生労働省は1日の摂取量を守れば健康に害はないとされていますが、慣習的・長期的な人工甘味料の使用によって体にどのような変化が起こるのか研究結果は出ていません。そのため、人工甘味料の使用に否定的な意見を持つ有識者がいるのも事実です。

 

通常、ご飯を食べると血糖値が上昇し、膵臓からインスリンというホルモンが分泌されます。そのホルモンにより糖代謝がはじまり、エネルギーの消費が促されるのです。また、インスリンの刺激を受けてレプチンが作り出されると、満腹感を感じ食欲を抑えることができます。

ところが、人工甘味料が含まれた食品を食べても血糖値が上がりにくいため、エネルギーの恒常性が崩れ、満腹感を感じにくくなることで食べ過ぎてしまったり、甘味の感覚が鈍くなりもっと糖質を求める依存性が強くなるため、むしろ太りやすくなると考えられています。

深刻なのは、人工甘味料により腸内フローラに異変が起こり、血糖値を正常に保つ能力(耐糖能)に異常が生じることです。習慣的に人工甘味料を摂取することで耐糖能異常が引き起こされ、結果的に糖尿病を発症させたり悪化させる可能性が明らかになりつつあります。

・満腹感を感じにくく、食べ過ぎてしまう
・依存性があり、もっと甘味を求めるようになってしまう
・耐糖能異常が生じ、糖尿病のリスクがある

使用禁止や未認可の人工甘味料

過去に一度は認可されたものの、健康被害や死亡事故が起きたため使用が禁止された人工甘味料も存在します。

ズルチン

パラエトキシフェニル尿素の誘導体。砂糖の約250倍の甘さがあります。1884年にドイツで発見され、日本では1946年に認可されましたが、肝機能障害や発がん性の毒性があり中毒による死亡事故が発生したため、1969年に禁止されました。

チクロ(サイクラミン酸ナトリウム)

スルファミン酸とシクロヘキシルアミンの混合物に水酸化ナトリウムを反応させて作られます。砂糖の約30~50倍の甘さがあります。1937年にアメリカで発見され、発癌性や催奇形性の疑いが指摘されたため日本では1969年に禁止されました。現在EU諸国や中国では使用が認められていますが、食品衛生法により輸入が規制されます。

アリテーム

アスパラギン酸を含むジペプチドです。砂糖の約1,000~2,000倍の甘さがあります。COVID-19(新型コロナウイルス)のワクチンを開発したことで有名なファイザー社(アメリカの製薬会社)によって1980年代に開発されました。現在、アメリカで食品用甘味料の認可申請を取り下げられ、日本では未認可です。中国、オーストラリア、メキシコなどで使用が認められています。

その他

酢酸鉛(II)…古代ローマにおいてワインなどに使われていた甘味料で、鉛中毒の原因となります。

ルグズナム(ラグドゥネーム)…最も甘いと感じる非糖質系の物質で、その甘さは砂糖の22万〜30万倍あります。毒性について不明であり、食品添加物として未認可です。

人工甘味料が不安な方に

人工的に作られた甘味料を摂取することに不安な方は、天然にあるものから作られた甘味料をおすすめします。

これらは、自然の甘味料でありながら血糖値を上げません。

最後に

人工甘味料は砂糖と比べてコストも低く、消費者による健康やダイエットへの意識が高まる現在、カロリー制限・糖質制限をうたった食品を開発するために、食品メーカーは積極的に使用しています。加工製品を食べるかぎり、必ず私たちの体に摂取されてしまうものです。

 

1日の摂取量を守れば健康に害はないとされているのでそこまで過剰に反応したくはありませんが、長期的な健康リスクについてはまだ不明な点が多いので、食事全体のカロリーや糖質を考慮しつつ何事も過剰摂取しないよう上手に利用していくことが大事だと思います。

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